リサーチでの発見を文脈とともにいきいきと伝えるには、ドキュメンタリー写真の方法が有効です。
かつてアメリカの雑誌ライフは、フォトグラファーに撮影から記事・レイアウト等の編集のスタイルを一貫させ1950年代に「フォト・エッセイ」と命名しました。
*第二次世界大戦前から戦後復興期、テレビの本格普及前までが黄金期で、アメリカの思想・政治・外交を世界に魅力的に伝える媒体であった。ロバート・キャパやユージン・スミスが特に有名。
中身は、次のような写真と文章で構成されています。写真をクリックしてみてください。[ライフで公開されたフォト・エッセイのパイオニアであるEugene Smithのカントリードクター]
Kobreは「Photojournalism: The Professionals’ Approach」の中で、この雑誌を構成する写真を分析すると次の8要素に分類されると述べています。もちろん、このライフの方程式に従うことが、ニュースや物語制作に不可欠だという意味ではないことに著者は言及しています。
マーケティングやプロダクト開発のリサーチにおいても、ライフでの写真構図の法則は参考になると思いますので、以下、構図パターンをスリランカでのコーヒーリサーチを事例に紹介したいと思います。
全体(OVERALL): 広角で全体の様子がわかるイメージ。町並みや対象を含む風景など。
媒介者(MEDIUM): 活動やグループに集中したイメージ。
クローズアップ(CLOSE-UP): 人の手や建物の特定箇所の詳細なイメージなど、クローズアップイメージ。
ポートレイト(PORTRAIT): 人物にフォーカスした躍動感あるポートレイトやモデルの職場や暮らしの場での環境ポートレイトショット。
反応(INTERACTION): 人々の対話や反応。
シグネチャー(SIGNATURE): 一枚にストーリーを語るために不可欠要素(モノ、動き、反応など)が全て写し込まれている一枚。決定的瞬間とも呼ばれる。
連続性(SEQUENCE): ことの成り行きの前後、シリーズもののはじめ、半ば、終わりなど時間軸が組み込まれたイメージ。
シリンダー(CLINCHER:): ストーリーを締めくくるイメージ。
ビジネスの文脈であれば、ユーザーの生活環境やサービス利用シーンを交えたカットが含まれてきます。
事前に最低限なにを抑えて置かなければいけないのか、リストを作成しておくとチームで動くときも抜け漏れがなくなるでしょう。リストの作り方については、また別ポストで紹介いたします。