目的
- IoTを活用し新しいオフィスと働き方のあり方を創造し、各社の働き方改革を後押しする
- 現在の主力であるオフィスプリンターの次世代ビジネスモデルを構築する
関わり
プロジェクトの始動から参画し、主にトレンドリサーチ、デザインリサーチを主導し、デザインファームのコンサルタントとクライアントとともにビジネス機会の発見と具体的なビジネス企画立案まで併走いたしました。
弊社の役割
- リサーチデザイン
- トレンドリサーチ
- エスノグラフィックリサーチの実施(モデレート、ツール作成、結果の統合と機会の抽出)
- ワークショップでのビジネスアイデアの作成支援
- レポート作成と最終報告
期間:2017年4〜10月
クライアント:大手複合機・ITソリューションメーカー、戦略デザインファーム
工夫と成果
- 職場の課題をありのまま把握するため現場で観察とインタビュー実施:ゼネコン、教育、スタートアップ、コワーキングスペース、流通などのオフィスならびに現場に担当者とともに入り、現状の課題を把握し、そこで拾い上げたトピックを元にディスカッションしアイデアの種を探しました。現場を見ながら行うことで、通常対象者から自発的に語られない内容をたくさん収集できました。
- アイデアの種をカードにして提示し、インタビューの質をあげる。気づきの随時反映:クライアントとともに練り上げた具体的なアイデアをインタビュー時に仮説として提示することで、各業界の中にある潜在ニーズや制約事項、理想を具体的に抽出できました。またインタビューを重ねる中で、仮説の筋のよさに気づき、すばやくアイデアのブラッシュアップが可能でした。このアプローチによって、リサーチがすべて終わってからアイデアを検討するのではなく、リサーチとともに仮説を磨き上げていくことができました。客観性を重視するマーケティングリサーチの方法とは異なる、その場その場でユニークで突破力のあるアイデアを作っては手を入れていくデザインリサーチの特徴だと思います。
- クライアントとの強い共創関係:12件の対象者へのインタビューが行われましたが、全てにいずれかのクライアントメンバーが参画していただき、インタビュー完了後に15〜20分の振り返りを共にしました。ときとして、仮説やプロダクトやサービスのアイデアに議論が移ることもあり、有意義な場となりました。このプロセスにより、リサーチ結果の質が飛躍的に高まり、プロジェクトメンバーの血肉となることでユニークで強いビジネスアイデアがいくつも生まれました。
完了後の感想
フィルム時代に愛用していた一眼レフカメラのメーカーとしても私には馴染みのあるクライアントでした。 プロジェクト当時、メインのビジネスとして複合機を扱われています。働き方改革という言葉がさかんに使われ始め、プレミアムフライデーなるものもはじまった時期だったこともあり、オフィス革新に興味を持って取り組みました。
プロジェクトの中でリサーチや議論を重ねる中で個人的な発見の一つは、できたら職住近接の中で、働いていくためにできることはどのようなことかということでした。
オフィスやツールを整えることももちろん大事ですが、街づくりやコミュニティをつくるには会社や組織がかなり思い切った施策が必要かなと思いました。 もっとも、昨今(2018年)、素早い試作と改善が必要なITやデザインをはじめとするクリエイティブ業界では、遠隔ではなくオフィスで顔を合わせてとことん仕事することが主流です。現在の環境においては、その方が圧倒的によい成果が得られるからです。
ただ、長い人生の中で、子育て、介護などさまざまなフェーズにおいて働き方も変えていく必要があります。そんな中でも成果が出せる、関わり続けられる働き方の多様性をサポートできる仕組みやツールができたら幸せだと考えながら、本プロジェクトには臨みました。