【事例】百貨店がつくりだすあたらしい価値とは?を探るデザインリサーチ



目的

百貨店を物売りから脱却し、新たな空間やサービスを企画するため、その前提となる店内での顧客体験や町の中での店舗の存在価値について明らかにすること。

 

関わり

デザインファームの声掛けにより、デザインリサーチの企画、実施、分析、レポート執筆を担当。顧客のペルソナ、カスタマージャーニーマップの制作。結果を踏まえた新規事業アイデアの創出ワークショップでのファシリテーションに参画。

弊社の役割

  • リサーチ設計、リサーチツールの作成(アイデアカード、ライフスタイルシートなど)
  • フィールドワーク:百貨店従業員に対するエキスパートインタビュー(5名)、顧客インタビュー(10名)、地域住民インタビュー(5名)、VIP顧客インタビュー(3名)
  • インサイト分析、ペルソナ・カスタマージャーニーマップ制作
  • アイデア創出ワークショップ(2日間)
  • ドキュメンテーション

期間:2015年2〜4月

クライアント:老舗百貨店本店、デザインファーム

 

工夫と成果

  • デザインリサーチャーとしてリサーチだけを担当するのではなく、アイデアづくりや企画まで並走:インタビューで得られた知見から5つのペルソナを生み出し、彼らの百貨店体験をストーリーにして可視化。その体験マップに対して、クライアントを含めた20名でアイデア創出のワークショップにファシリテーターの一人として参画。100近くの次世代百貨店のサービスとして機会領域になるもについてアイデアを生み出し、その後実効性やユニーク性を吟味した。たとえば、店頭づくり、従業員の接客のあり方、地域との関係性などがあげられる。
  • よりリアルな気づきを得るため、店内や町の中で実体験を伴ってもらいながらのエスノグラフィックインタビューを活用:対象者へのシャドウイング(店頭動向調査)やカードによるアイデア刺激などでインタビューの気づきを最大化した。また、気付きの幅と深みを出すため、クライアントのコアメンバーには一人一回最低でもインタビューに同席してもらった。
  • 業界特有の情報の事前インプット:老舗百貨店であることから、事前にその歴史や特有の習慣や文化のインプットに務めた。具体的には、ベテラン職員の方へのヒアリング、業界構造のリサーチのため、内部資料を最初の2週間でシェアしてもらいインプットし不明点をミーティングで潰していった。



完了後の感想

独立後、最初の大手の仕事でした。顧客、従業員、町の住人を対象に、多様な視点を取り込んでのプロジェクトなりました。

働かれているベテラン社員の方々が、扱っている品物、たとえば呉服であれば、その分野で教鞭がとれるほど博識であることに、一朝一夕には培えない歴史と経験のプライドを感じました。それとともに、抱負なタレントを抱えるのが百貨店なのだとも思いました。実は、内側にすでに抱負なコンテンツが眠っていて、若い世代とのブリッジが大きな価値になるのではという点も気づきの一つでした。

また年間、何百万、何千万のお買い物をされているVIPのインタビューは非常に緊張したものでしたが、皆さまとよい信頼関係を気づきながらインタビューができ、食料品からブランド、洗濯、旅行など、生活のほとんどを百貨店に任せている上顧客の実情にも触れられたのは面白い発見でした。