目的
大手ソフトドリンク飲料メーカーのプレミアムブランドの新規立ち上げに向けて、新技術を活かした新製品を作り上げること。
関わり
お声掛けいただいた段階で、役員、ブランドマネジャー、デザイナー、コンサルタントなど社内外のプロジェクトメンバーが約2ヶ月間かけて作り上げた製品コンセプトのアイデアがありました。それらを更に飛躍的なものへと磨き上げるため、建設的な批判が得られるリサーチを企画・実施し、クライアントやデザイナーたちとともに最終案を練りあげたいという目的でご依頼いただきました。
弊社の主な役割
- リサーチ設計
- リクルーティング対象者設定と探索
- エキスパートインタビューのモデレーション(90分)
- 統合分析
- 得られた知見の最終案への落とし込み
クライアント:大手飲料メーカー、戦略デザインファーム
時期:2018年5〜6月
工夫と成果
- 破壊的な意見を取り入れるには誰に聞けばいいか? プロジェクトメンバー内で煮詰めたアイデアを一度、外側から意見をもらいよりアイデアを面白くすることを目指しました。当初、世間的にアーリーアダプターと言われる先進層を対象としたデプスインタビューを計画しましたが、クライアントチームとも議論を重ね、もっと破壊的な刺激をアイデアに加えたいとのことになりました。そこで、新ブランドの方向性として打ち出していた分野の各エキスパートを8名ノミネートし打診。プロジェクトメンバーが縁のある最先端に取り組み、建設的な批判をくれる方々の協力を仰ぐことに成功しました。中にはかなり著名な方々も含まれており、こうした方への依頼の実現は大手のリサーチ会社に依頼してもリーチが難しいですが、小さなチームでもイノベイティブなメンバーが揃っていればこそ実現することです。
- 抽象的な議論を深めるために活用したグラフィックレコーディングと共創型インタビュー。 ボトルの形状、デザイン、味の方向性、季節感などなど、抽象的な議論が展開するインタビューでは、聞き手と話し手のイメージが一致しない可能性が出てきます。そこで、このインタビューでは刺激物としてイラストの製品プロトタイプを使うことに加え、プロのグラフィックレコーダーを伴いました。実際、話に夢中になっている最中に絵を指して議論が深まるシーンというのはさほど多くはありませんでしたが、むしろ完了後の振り返りや内容の共有に強力な役割を果たすことになりました。
- 共創関係の構築。 デプスインタビューを1:1の緊張関係にするのではなく、6〜7人で共に話し気づきを交換する関係の場にすることです。もちろん、個人のプライベートな内容を深める場合は1:1が相応しいですが今回はエキスパートとアイデアを破壊し、再構築するような場でした。クライアントにも必ず一人一回は参加していてだくことが実現しました。そうすることによって確実に気づきが多様になり、また発見したことへのストーリーが強くなります。社員間で口コミで気づきが共有されて、関心を持ってもらうことにも繋がります。
- メンバーとのチームビルディング。リサーチフェイズからの参画でしたので、なるべくそれまでにプロジェクトメンバー同士がそれぞれの理想やビジョンを語ったワークショップの議論を把握し、メンバーが大切にしている価値観を自分の中にも同期しておくことを心がけました。
完了後の感想
クライアントからは、普段フォーカスグループインタビューによる検証が多いなか、共創型エキスパートインタビューは、自分たちの既成概念を壊してくれる刺激的な気付きが多いよい場であったとのフィードバックを頂いています。
私個人の感想としては、エキスパートへのインタビューはいい意味で疲労するということです。なぜなら、そのほとんどの方は著作を発表されており、WEB上でも多くの発言をされていますので、よりよい議論をするためには事前インプットは欠かせません。
そしてなるべく、そのトピックに本心から関心を持てるようにしています。そうすることで、心のそこから湧き上がる好奇心を伴い質問を繰り出すことができると思っています。逆に、そうではなければいいお話を聴ける場にはならないですね。そういう意味もあって、毎回かなり緊張を伴います。具体的なテーマをまだ公開できないのですが、今回もそういった取り組みもあって今まで馴染みのなかった分野について知見を得ることが出来たのは嬉しい経験でした。
また、グラフィックレコーディングが、インタビュー結果の共有に大変有効だったことも気づきでした。インタビューの議論を深めることよりも、共有で力を発揮したという感想を持ちました。(後日、公開可能な許可をいただける機会があればこちらでも公開いたします)
最後に、フィールドワークを兼ねて、素敵なバーを訪問しお話を伺ったのも楽しくもあり有益でした。