デザインリサーチリサーチ

発見を頭やパソコンの中から出してインサイトボードで視覚化する

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映画「ドラゴン・タトゥーの女」トレイラーから

エスノグラフィーやデザインリサーチでは、発見を視覚化して残していくことが重要である。

そこで有効性が高いのがインサイトボードである。

元frogのルーク・ウイリアム氏は「頭やパソコンのなかから出さなければ、観察結果には意味がない。それを触れられるかたちで、物理的に出力すべきだ。紙や写真、その他の記憶補助(とっさにナプキンの裏に書いたメモ、カタログ、名刺など)をまとめて『インサイトボード』に貼りつけていく。リサーチでの発見をすべてひと目で見ることができる」と著作の中で述べている。

この一節をはじめて読んだとき、映画ミレニアム「ドラゴン・タトゥーの女」に出てきたワンシーンが頭に浮かんだ。ジャーナリストのミカエルとリサーチャーのリスベットは、ある何十年も昔に起きた殺人事件の犯人をあぶり出すためにリサーチ結果を人物ごとに壁一面に貼りだしていく。そして、見たこと聞いたことのメモや写真、読んだ記事や地図とあらゆる情報をそこにひも付けて貼り付け、あるときそれまで見えなかった線で事象が繋がる。同様に、美大や芸大のデザインコースでもこの手のアプローチをよく見かける。分野を超えても、事実を集め洞察し発見をしていくプロセスには共通点がある。(ちなみにこの映画は、原作ともに非常に面白く一冊1000ページでも一気に読ませる魅力あり)

重要な点は、発見を頭のなかやハードディスクの中に眠らせて隠してしまわないことだ。同じ情報であっても、見るタイミング、順番、何と一緒に見るかで閃くことが変わる。

私もプロジェクトを展開するときには、このアプローチを大切にしている。

インサイトボードは、B0程度の模造紙を使いインタビューを行ったならば、対象者一人に対して一枚を用意することが多い。街やお店であれば、もっと大きなものか壁に直接貼り付けてしまってもよいであろう。

ポップアップスタジオ(プロジェクトルーム)
インサイトスタジオ

見たままの事実は黄色、解釈してわかったことは青など色を変えて整理すると気づきを整理しやすいし共有もしやすい。できるだけ写真も印刷しておく。現場で見たことを写真で改めて見直すことで、見過ごしていた気づきが生まれていくる。

リサーチの基地、インサイトスタジオ

インサイトボードを常に掲示しておけるプロジェクトルームがあるとなおよい。オンライン上でも、発見をシャアするためのボードがあるにはあるが、やはりいつでも誰でも見ることができるのが肝であるからアナログがよい。元frogのリサーチャーであるヤン氏もPopup Studioというリサーチプロジェクトの間、寝食をともにし発見を視覚化していくためのスタジオの有益性を提唱している。クライアント企業の中に、使われていない会議室があればそこがよいし、期間限定なのでAirbnbで探すのもよい。

この部屋とインサイトボードを展開することで、発見を有機的に繋げられるだけではなく、リサーチの進捗をプロジェクトメンバーやクライアント皆に共有しながら進めることができる。そして、気がついたことは、異なる色のポストイットで追加してもらえるとより発見が誘発されやすくなる。このようにしてできあがるインサイトスタジオは、ちょっとした展示会のような鮮やかな世界になり、うきうきした気分になる。眉間にしわを寄せて考え事をするより、そんな楽しい気持ちが発想を広げてくれたりする。