デザイン人類学の考え方

多摩美術大学教授の中村寛さんが行われた授業の一つがWEBで公開されています。

タイトルは「人類学とデザインは共創できるのか?」です。

私自身も社会科学や人文科学のアプローチを活かして、デザイナーのみなさまとプロジェクトを共にする際に、チームで取り組む視点としてとても大切だと考えて臨んでいる点が言語化されていましたのでここでも紹介させてください。

人類学者が目指すもの:

  • 対話による対象理解の厚み:ハードサイエンスのように法則を導くことではない。対話によって対象に対する解釈を豊かにしていくこと。
  • 過去への指向性:歴史的文脈を踏まえて関与する。
  • 文化への関与の仕方に対する内省:自分達の介入の仕方に対する倫理的内省。

デザイン人類学として:

  • 修復的アプローチ(restorative approach):現状の課題を修復するような関わり方をする。
  • 観察参与:かつての参与観察(エスノグラフィを書く)から関与していく(何かを作り出す)のがデザイン人類学のスタンス。対象と交感する。

対象と関わりながら理解と解釈を深めていく、という当事者研究やアクションリサーチのようなあり方が、とりわけデザインや事業創出に関わるリサーチャーに求められているのだと思います。

また、そのようにして対象と深く関わり交感できる経験は、関わった人たちの暮らし方をも豊かにするきっかけを与えてくれるのではないでしょうか。仕事を通して、生きていく気づきを関わった人も関われた対象の両方で育めたら嬉しいですよね。

ぜひWEB上に公開されている動画をご視聴ください。